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転倒する前に!「楽に動けるか」で判断する住環境と家具の見直し方

一人暮らしの高齢の方の中には「転んだこともないし、誰かの手を借りずに生活できているから問題はない」と思いながら、これまでと同じ暮らしを続けている方も多いのではないでしょうか。確かに、目立ったケガや事故がなければ「まだ大丈夫」と感じやすいものです。

しかし、動きにくさを年齢のせいにしてしまうなど、実は体に負担がかかっているサインを見過ごしているかもしれません。見守る人がいない住環境では、リスクが静かに進行している恐れがあります。

そこで今回は、一人暮らしの高齢者に潜む住環境リスクと家具の関係について解説していきます。

 

家具別の「気づく」ための考え方

離れて暮らす家族は「転倒していないからまだ大丈夫」と聞くと安心しがちですが、その言葉には転倒の一歩手前にある無理な動作や我慢が隠れていることがあります。本人は「普通に動けているつもり」でも、年齢とともに筋力やバランス能力などの身体機能は少しずつ低下していきます。その変化に気づかないまま、これまでと同じ家具・同じ動線で生活を続けていると、ふとしたときに大きな事故につながってしまいます。

自宅内のリスクは日常に溶け込んでいます。一人暮らしの場合、日常の動作を見守る第三者の目がありません。離れて暮らす家族がリスクに気付くためには、「できているか」ではなく、「楽にできているか」という視点で生活を見つめ直すことが大切です。

ここでは、家具別にリスクに気づくためのポイントをみていきましょう。

 

チェア

チェアは「座れているか」ではなく、「楽に立ち座りができているか」で判断することが重要です。


 ・立つときに勢いをつけて立っていないか

・座る前に椅子の位置を何度も確認していないか

・肘掛けがないと不安、もしくは壁やテーブルをつかんでいないか

・立つ前に一度深呼吸をする

・座り直しは多くないか

・座面が柔らかすぎて沈み込み、姿勢が崩れていないか


 こうした動作は、体が無意識に負担を感じているサインかもしれません。長年使っている椅子ほど「慣れた姿勢」になりやすく、違和感に気づきにくいものです。今の筋力や関節の状態に合った高さ・硬さ・支えがあるか見直し、体に負担のない姿勢を維持することが大切です。

 

テーブル

「食事ができているから問題ない」と判断してしまうのは少し危険です。「正しい姿勢を意識しなくても自然とその姿勢になっているか」という視点で見直すのがおすすめです。


 ・背中を起こしたまま食べられているか

・顔をお皿に近づけて食べていないか

・新聞やスマホを見るとき首が前に出ていないか

・食事中、肘をテーブルに強くついて体を支えていないか


 また、椅子とテーブルはセットで考える必要があります。テーブルが低すぎたり椅子と合っていなかったりすると、自然と背中が丸まり、呼吸も浅くなります。これが習慣化すると、姿勢の崩れや首・肩の痛みだけでなく食事量の低下にもつながっていきます。高さや形状を確認しましょう。

 

テレビ台・家電の配置

見落とされがちなのが、テレビ台や家電の配置です。「ぶつからずに歩けるか」ではなく、「避ける動作が必要になっていないか」に着目しましょう。


 ・無意識に体をひねったり、横向きで通っていないか

・家具や家電を「よけながら」歩く動線になっていないか

・つまずきそうな段差はないか

・コードやラグの端をまたぐ動作が日常化していないか

・棚や台の角を避けるために歩幅が小さくなっていないか


 こうした回避の動作はバランスを崩す原因となりやすく、体調が悪い日や夜間、急いでいるときに転倒リスクが一気に高まります。「通れるか」ではなく、「スムーズに移動できるか」に注目した動線づくりが大切です。

 

ベッド・寝具まわり

ベッド・寝具まわりは起床時や就寝時など、1日の中で一番不安定な時間を過ごす場所です。起床直後のふらつき、夜中のトイレ移動など、意識がはっきりしない状態で動く場面が多くなります。

「動作の際に怖さを感じないか」を基準に、日中ではなく、夜中など一番不安定な時間帯で考えてみましょう。


 ・ベッドが高すぎて足がしっかり床につかない

・立ち上がるときにふらついていないか

・夜間の動線が暗く、足元に不安を感じていないか

・布団や毛布が足に引っかかりそうになっていないか

・壁や家具を触りながら移動していないか


 こうした不安は、本人しか気づいていないことも多い部分です。ベッドの高さや手すり、足元灯の設置など安全に過ごせる環境を整えて、リスクを予防しましょう。

 

住環境は「今の身体」を基準に整えよう

住み慣れた家には愛着があり、家具一つひとつには、長い人生の大切な思い出が刻まれています。だからこそ「まだ使える」「もったいない」と、そのままにしてしまいがちです。 その結果、無意識のうちに不安定な動作を行っていたり「少し使いづらい」「なんとなく不安」と違和感を持ちながらも使用していたりと、体に合わなくなっていることがあります。

「使えるか」ではなく「楽に使えるか」

「慣れているか」ではなく「不安を感じていないか」

 など、住環境を普段とは異なる視点で見てみると、「最近、立ち上がるのがしんどそうだな」「歩くときに家具を支えにしているな」といった、生活の中のサインに気づくことができます。

 高齢者の一人暮らしは危険だと決めつける必要はありません。大切なのは、今の身体を基準にして見直してみることです。事故を予防するためにも、違和感に気づき「より楽に、より安心して過ごせる環境」を整えていきましょう。

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